From:橋本公平 (大阪の事務所より)
企業が自社サイトをつくるとき、間違った例が「会社案内サイト」です。会社案内パンフレットの内容をそのまま転載してようなサイト。最近は少しずつ減ってきましたが、まだまだ多く存在しています。
なにがいけないのでしょうか?
ダメな会社案内サイトってどんなの?
思い出してみてください。
過去、あなたの会社案内でお問い合わせや販売に直結した例は、これまでありますか?ほとんどないですよね。あったとしても、営業マンのセールストークの補足的役割しかしていないはず。
それは、会社案内そのものに、営業力がないからです。
ほとんどの会社案内は、会社概要、事業内容、社長メッセージ、企業理念、沿革ぐらいしか掲載されてません。会社のかんたんなアウトラインを知ってもらう程度ですよね。
それをそのままWebサイトに持ってきたとしましょう。内容は会社案内と同じなので、訪問者が興味をもつ情報は載っていません。それで訪問者は「よし問い合わせてみよう!」と行動に移してくれますか?まず、ならないです。
会社案内サイトは持っていてもいいですが、集客としては100%意味がありません。なぜなら見込み客に興味をもたせ、アクションを起こさせる集客力ないからです。実際の役割は、会社の存在(だけ)を知ってもらったり、銀行に見せるためであったり、株主などへの情報提供などの側面が強いです。
そもそも社名以外は検索にほとんど引っかかりません。サービス名での訪問があっても、無名の会社ならせいぜい1日10件もないでしょう。
ダメな会社案内サイトの例
(※老人介護保健施設を例としていますが、架空の施設です。)
メッセージがあいまいで一方的、訪問者の知りたい情報が載っていません。中のページへアクセスしたいとは思えません。しかも、最新情報が1年以上前と放置されている状態。これでは、Webサイトが会社の売上げに貢献するはずがありません。
10年ほど前は、このような会社案内サイトでも売上げにつながっていたのですが、「ホームページは売上げにつながらないと意味ないよね」となった今でも、よく見受けられるトップページです。
では、どのようなサイトがいいのか?
結論を先にいうと
「お客さまの視点から考えられたサイト」=「ユーザー視点サイト」です。
ユーザー視点というのは、お客さまが望んでいる情報、問題解決になるような情報を先回りして見つける視点です。いわゆる「ニーズ」です。商売をされている方なら、聞き慣れた言葉で「今さらなにを」と思うかもしれません。
このユーザー視点、リアルのビジネスではできている人が多いです。どんな人が、どんな風に利用するのか?をイメージしながらビジネスしていると思います。特に成績の高い営業さんは、ユーザー視点でセールスを行っています。
それがことWebサイトになると、ユーザー視点が抜け落ちてしいがちです。お客さまは何か問題や欲求があって、それらを解決・満たすために、情報を求め検索してくるわけですよね。なら、その情報を用意してあげれるかが、サイトの満足や成約率にも影響します。
では、どうすればユーザー視点のサイトにできるの?
お客さまが「不安に感じてること」「疑問に感じてること」「期待すること」を書き出し、それらをあからじめ準備してあげればいいわけです。
お客さまのニーズはあなたのビジネスによってさまざまですが、よくある例としては、
「価格は?納期は?アフターフォローは?どんな人がいるの?実績は?どんなことしてくれるの?他と何が違うの?信用できるかな?」
などなど。
お客さまの頭の中に入り込んで、「ニーズに応え、疑問や不安を解消する」を念頭に設計していきます。
上の悪い例を、ユーザー視点で変更してみた。
おかしな内容や使用を控えるべき言葉づかい、荒めのコピーなどあるかもしれませんが、「ユーザー視点を説明するため」とご了承ください。
ユーザー視点のサイトでは、そのターゲットが「なにを望み、なにを不安に思っていて、なにを知りたくてサイトに来ているのか?」、それをあらかじめ把握しておく必要がありましたね。
老人介護保健施設は、病気で入院された方が自宅療養までの間に、一時的に入所する施設です。ターゲットは、現在入院されている方のご家族。
まず、ご家族はいろんな施設を比較検討しているはずです。ただ、どの施設も情報の差が分かりにくく、どの施設が家族にとってベストなのか分かりにくい。
「ご入院されているご家族の方へ」で当事者の方を呼び込み、そのような不安を解消するために、「老人介護保健施設を選ぶポイント7」といったコンテンツをメインに用意。横にスタッフの笑顔写真があってもいいかもしれません。
そして、施設の特徴を5つ挙げ、他施設との違いを明確にしています。あなたが施設を選ぶ基準が、ここにあるかもしれませんよ、と用意してあげるわけです。
例えば、リハビリの回数は施設によって違います。週3もあれば週6のところもある。3ヶ月すぎるとリハビリを終了する施設もあるし、継続してくれる施設もあります。ご家族としては、なるべく現在の病院でのリハビリをそのまま継続したいと思っています。リハビリの頻度が多ければ、うれしいわけです。
続いて、どんな人が入所しており、施設についてどう思っているのか?
実際の入所者のご家族にアンケートを取り、生の声を掲載しています。訪問者は、入所本人と同じ属性や境遇などに敏感なので、どれか当てはまると安心の材料になります。
「お客さまの声」は施設に関わらず、あらゆる業種で効果があります。(※介護施設でこのような掲載が望ましいかの判断は棚上げしてください。あくまで例です。)
さらに、よくあるご質問コーナーで、お客さまの疑問や不安をつぶします。
病院の入院リミットまでに、スムーズに施設に転院できるのか?などの最大の問題にも、真摯に返答します。
そして最後に、無料見学や無料相談に誘導することで、始めの一歩を踏み込んでもらいます。(実際に対応する相談員の顔写真が名前付きであれば、もっといいかもしれません。)これをコールトゥアクション(行動喚起)といいますが、とってもらいたい行動に誘導するためのボタンやスペースのことです。
自社の説明をいろいろしてるけど、「で、訪問者にどうしてほしいの?」の部分が抜けているサイトは、けっこう多いです。
まとめ
Webサイトの設計は、お客さまの頭の中に入り、どれだけ疑問、不安、期待を汲み取れるか?が重要。この時点でサイトの成否はかなり決まってしまいます。
「Webサイトはデザインが重要だ」と思われている方は、要注意です。
大雑把にまとめると、
- 会社案内サイト:自社が言いたいことだけサイト
- ユーザー視点サイト:お客さまが知りたい情報、解決したいキッカケを与えてくれるサイト
あなたのサイトは会社案内サイトになっていませんか?「なってるかも・・・」と感じたら、ぜひ改善してみてください。
補足
今回は老人介護保健施設を例としていますが、この業界の現状は完全に売り手市場で、黙っていても入所希望者が殺到します。ここまでサイトのコンテンツを考えなくても問題ないのが実情のようです。