ライザップをマーケティング視点で掘り起こしてみた

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From:橋本公平 (大阪の事務所より)

ライザップ

先日クライアントと電話していて、なにかの流れでライザップのCMの話になりました。話はすぐに別のことろにいったのですが、電話を切ったあとライザップの何がすごいのか?ちょっと考えてみました。

結果にコミットするライザップ。もう馴染みになった劇的before afterのインパクトはすごく、やっぱりあのCM効果が影響はすごいようです。ぼくなんかあの音楽が流れてくると、別のことをしてても反射的にテレビ画面を見てしまいます。2015年3月期の決算では、営業利益が前期比137%も増加するほど快進撃。昨年から赤井英和さんやSMAPの香取くんなどの有名人を起用し、注目度もさらに加速しています。

では、このライザップをマーケティング視点で分析してみましょう。

「運動+食事制限」の原点回帰

ライザップのやっていることは「運動+食事制限」という単純明快なダイエットです。こんなの誰でも知ってますよね。
当たり前のことですが、実はダイエット業界はこの当たり前の事実をなるべく見せないように、ファンタジーを売って成り立っているところがあるからです。

このサプリ飲んだらラクに痩せれますよ。短期間で効果がでますよ。好きなモノを食べながらダイエットできますよ。
など、これまでのダイエット関連やサービスは、人間の欲求である「ラクしたい・時間を節約したい」という心理を利用しています。それがほんとに効果があるのかないのか置いておいて、アプローチとしてまず「簡単」「てっとり早く」というファンタジーを見せることで、お客を引き込んでいます。

みんな本心では食事制限と運動をすれば痩せれるってことは、頭では分かってる。でもおいしいものを我慢できない。運動も続けられない。じゃあ、てっとり早い方法はないのか?となっちゃいます。

ライザップはそのファンタジーを無視し、みんな気づいているけど自分だけではできないことを圧倒的な証拠をもって、自分もやってみたいと思わせた。「トレーニングと食事制限をがんばったら痩せれます。それだけです」と言っちゃったわけです。

90%という高い達成率の秘密

でも、だからといって簡単に痩せれる系のダイエットが衰退することはありません。多くの人が「ラクしたい」と思ってるからです。マーケットとしてはこちらのほうが圧倒的に大きく、パーソナルトレーニング系は少数派と言えます。

それは結果的にそうなったのか、意図しているのか分かりませんが、マーケティング的に言うと、ライザップはきちんとターゲットを絞っています。

体験者のブログを見ていると、トレーニングするほどヤル気がみなぎってきた、みたいな感想が見受けられますが、それでも今まで緩かった心を引き締めてトレーニングと食事制限をおこなうのは、ツラいと感じます。

成功率はなんと90%です。なぜそこまで高い確率になるのでしょうか?
メソッドがしっかりしているのはもちろんですが、ひとつは「ラクしたい人は来なくていいよ」という絞り込みです。メディアでの紹介を見ると、トレーニングなのでしんどいイメージがあります、それでも敢えて申し込む人は、本気で痩せたい気概がある人です。

しかも、入会前に世界標準の身体活動に関するチェックリストを用いて、運動指導、食事指導を受けられる健康状態かを確認しています。その基準に満たさない方は専門医の許可書がないと入会できません。サイトの情報では、その結果これまで3000人以上を断っているようです。

加えて、料金は「前金」で最低でも30万円と高価です。これも覚悟のある人だけにフォーカスしており、絞り込みになっています。前金がポイントです。痩せたら料金をいただく成果報酬の場合、お金を払うリスクを感じない人が集まり、リクスがないから途中で挫折できてしまう、そんな心理が働きます。前金にすることで、リスクを負ったのだから頑張らないと元が取れない心理が働きます。

結果、意欲のある人だけが集まるので、90%という高い成功率に結びついている要因だと言えます。

約束と証拠のセット

ライザップの広告

ライザップのオンライン広告を見ると「たった2ヶ月で」と示されています。期限を決めていますね。これは2ヶ月後の自分の姿をイメージさせる効果と、2ヶ月頑張ればあんな風に劇的変化が手に入るという期待感をつくっています。

これはライザップからの約束です。「これだけ時間とお金をくれたら、あなたの欲求を満たしますよ」と約束しています。でも、2ヶ月でってホント?と疑いが入るので、次の圧倒的な証拠によってそれを潰しています。

言うまでもなく、before afterの証拠がスゴい。一部では誇大広告じゃないかと疑われていますが、あの変わり様は話題性バツグンです。特にCMでは余計な情報を排除して、before after1点のみをアピールしていて、シンプルで力強く記憶に残ります。

ポイントは「約束」+「証拠」がセットになっていることです。「たった2ヶ月で痩せれます!」と約束し、それをbefore afterの証拠で証明しています。いろんなホームページやチラシなどを見ていると、約束だけして証拠でのバックアップが十分でないケースがけっこうあります。

証拠はbefore afterだけではありません。トレーニングの要のトレーナーの育成であったり、メソッドの監修者を紹介することで権威のバックアップをとったり、栄養学に基づいた食事指導なども証拠になります。

「約束」+「証拠」。あなたのサイトも一度チェックしてみてください。

データでの裏付け・説得力

ライザップの場合、before afterだけで十分な証拠になりますが、そのバックアップを強めるために、ホームページではデータによる説得も行っています。

・確かな根拠と効果
http://www.rizap.jp/evidence/
http://www.rizap.jp/evidence/evidence1
http://www.rizap.jp/evidence/evidence2
http://www.rizap.jp/evidence/evidence3

・太りにくいカラダづくり
http://www.rizap.jp/rebound/

また、短期間でのダイエットは健康に影響しないのか?といった反論にたいしても、データで不安を払拭していますね。

・安心、安全への取りくみ
http://www.rizap.jp/safety/safety

人がものを買うのに、最初は感情から入ります。ライザップなら劇的な変化ですね。でもそれを理屈で正当化してあげると、もっと強力な説得力になるわけです。

続けられる環境(完全マンツーマン)

ダイエットが失敗するいちばんの要因は、続かないこと。そして、特にトレーニングのようなコーチングやコンサルティング系のビジネスでは、本人ががんばらないと結果が出ないこと。

以前ビリーズブートキャンプが流行りましたが、あれもビデオ通りにやれば結果は得られるんだろうけど、本人が続けられないので(話題にはなりましたが)成功率は低かったようです。

その怠け心にどう対処してくのかが成否のポイントで、完全マンツーマンでトレーニングと食事チェックを行うことで、サボれない環境をつくっています。

ちょっと話が逸れますが、これは普段の仕事でも活用できます。ぼくのようにPCでの仕事が多い人は、なにか調べていると別のことに関心が移りネットサーフしてしまったり、こまめにメールチェックしたりと、集中力を途切れさせる行動をしてしまいがちです。

その対策として、メールチェックは時間を決める、調べ物がない作業の時は、ブラウザを閉じたりネットを切ったりすることで、意識が移るのを防止できます。

30日間返金保証

5月に広告規制が入ったようですが、返金保証はよく見られるオファーです。オファーというのは取引条件のことで、送料無料や2つ買うと1つプレゼントといった条件と引き換えに申し込みを促す手法です。テレビ通販では、必ずなんらかのオファーが入っています。パソコンにデジカメもプリンターも用紙も付いてくる。しかも分割手数料無料といったように。

返金保証は高価なものほどメリットがあるようです。多くの人は購入決定に対して「ほんとうにこれを買っていいのか?失敗しないか?」といった心的リスクを強く感じます。そのリスクを上記の証拠やデータなどに加えて、購入後も返金できるという安心感をつくり、行動を促しています。
返金保証はリスク軽減だけでなく、それだけ商品に自信があるというさらなる証拠にもなります。

返金が多くなるんじゃないかという声もありますが、実際に返品は多くありません。あたっとしても、返金による損失より保証による購入のほうが断然多くなるのは、マーケティングの世界では常識です。
返金率4%を超えた場合、その商品になんあらかの欠陥があると判断するようです。

 

実際に入会した人はもっと気づきがあると思いますが、ライザップについて分析してみました。
あなたのビジネスにも活用できる手法はありますか?ぜひ参考にしてみてください。

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