From:橋本公平 (大阪の事務所より)

あなたもこんな経験ないでしょうか?
ウチの家庭では、毎週日曜日は奥さんの家事軽減を目的に、近所でランチすることが決まっています。よくいくビュッフェランチの店はその日は貸し切りだったので、別の候補店を探したのですが、なかなか決まらない。悩んだ挙句、ひさびさにファミレスにしようとなりました。僕たちには珍しい選択です。
店の近くまで来て、奥さんが「わたしパスタにしよ」と言いました。ぼくは「それならイタリアン行ったほうがいいやん」と意見し、そうだね、ってことになり、ファミレスは中止。結局近くのイタリアンレストランに入りました。
なぜ僕たちはファミレスをやめて、イタリアンに行ったのか?
そこには「ファミレスでパスタを食べるのなら、イタリアンのほうがおいしい。」という考え(もしくは思い込み)があったはずです。
ファミレスって、洋食だけじゃなくて和食、中華、アジア、エスニックもある。その中のひとつのメニューであるパスタって、おいしいだろうけど、やっぱり専門店のパスタのほうがおいしそうに感じます。値段もそれほど変わらないだろうし・・・という心理です。
「ファミレス型サイト」と「職人型サイト」
これって、実はWebサイトでも同じことです。
ひとつのサイトに、あれもこれも情報を載せてるサイトってありますよね。洋食、和食、中華、アジア・エスニック料理・・・バラエティに富んだメニューがありますよ!的なサイトです。
一方で、うちはパスタ専門です!パスタ馬鹿です!と絞り込んだお店もあります。
ぼくはそれぞれ「ファミレス型サイト」「職人型サイト」と呼んでいます。「ファミレス型サイト」「職人型サイト」どちらのほうが信用できそうですか?答えは明らかですね。
ここでキーワードとなるのは「専門性」です。
ファミレスサイトは「なんでもできますよ」になってしまいがちです。「なんでもできますよ」は選択肢が多くて一見よさそうですが、裏を返すと「なにもできませんよ」と同じことです。いろいろ揃えすぎると何も際立たず、会社の特色が出ません。よって印象に残りません。
職人型サイトは、ある特定の分野やサービスに特化しているので、「安心できそう、ハズレはないだろう、こだわりがありそう」といった心理がお客さまに生まれます。しかも、専門家の立場に立つことができるので、信頼性は増します。
ファミレスサイトのほうがいろんなニーズに対応できそうですが、職人型サイトの存在があると、「パスタ」という選択では負けてしまいます。
飲食に関わらず、あなたの日常の買い物や決定を思い出してください。いくつも同じ経験が出てくるはずです。これは実店舗では当たり前のことですが、Webサイトになるとすっぽり抜けてしまう方が多いです。特に経営者は自分の会社を自慢したいので、あれもこれもと欲ばってしまいがちです。
職人型サイトで、問い合わせが5倍に
それでは、職人型サイトを選択した結果、問い合わせが5倍に増えた例を紹介します。
以前、ある司法書士さんからリニューアルしたいと問い合わせがありました。アクセスもそれなりにあり、お問い合わせもちらほらだったのですが、行き詰まりを感じていました。サイトを見てみると、典型的なファミレスサイトでした。
司法書士さんは法務に関することならなんでもできちゃいます。
・不動産登記 ・不動産名義変更 ・相続登記 ・抵当権抹消 ・遺言書作成 ・法人設立 ・過払い請求 ・任意整理、自己破産 ・離婚相談 ・成年後見 ・民事事件・・・
など
サイトではあれもこれもと盛りこみたくなります。
サービスが多くてなんでも対応してくれそうな印象ですが、このサイトの場合、各説明は当り障りのなくどこでも入手できそうな基礎情報だけ。それぞれを深く説明できずにいました。
しかも、あらゆるサービスを均一に紹介してしているので、なにが強みなのか分からない。結果、どれもこれもやりますよ的なサイトになり、誰の問題にも応えられないサイトになっていました。
さっきの「いろんなことできますよ=なにもできませんよ」の状況です。
で、ぼくはなにをアドバイスしたかというと、
「ファミレス的サイトはそのままに、あるサービスに特化したサイトを新たにつくりましょう」
要は、職人型サイトを別につくったわけです。
そこで、いろんなサービスがある中で、会社の強みを活かせ、過去にお客さまの獲得実績のあるサービスに絞って、サイトを構築しました。
(もちろんマーケットの大きさや競合調査などが必要ですが、ここでは説明しません)
ファミレス型サイトでは、サービスが多様でいろんなことを言わなくちゃいけないイメージですが、特化した場合、そのサービスを必要とするお客さまにだけスポットを当てればいいわけです。
特化すると他のサービスは捨てることになるので、損した気分になるかもしれません。
でも、先ほどの例を思い出してください。
お客さまにとっては、問題解決をしてくれるサービスがあればOKなので、あれもこれも必要いりません。パスタを食べたかったら、イタリアンレストランですよね。ファミレスには行きません。
お客さまには専門性の高さを感じさせることができるし、そのサービスを欲する人に「刺さる」メッセージを発せます。
なんだか具体性があってラクに思えませんか?
結果的にこのクライアントは、職人型サイトをつくることで、問い合わせが5倍に増えました。
他のクライアントでも、ターゲットの業種を細かく絞り、特化サイトを数個運用することで、それぞれのアクセスは少なくても、確実にコンバージョンしている例もあります。
サービスを絞ると、どんないいことが起こるのか?
- ターゲット像が具体的になるので、メッセージが刺さりやすい
- 特定のサービスだけを説明すればいいので、深い情報を提供できる
- テーマが濃いので、SEOの上位表示に希望がもてる(競合の存在によって変わります)
- その分野での専門家としての立場をつくることができるので、信用してもらえる(ファミレスよりイタリアンレストラン)
- そのサービスを欲しい人だけが訪れるので、成約率が高くなる
- 同時に、ムダな営業コストを削減できる
あなたの会社も、職人型サイトにできるサービスがきっとあるはずです。もちろんサイト制作には費用はかかりますが、短期間で回収&利益になるかもしれませんよ。
補足
今回の記事は「あなたのWebサイトは、集客できない会社案内サイトになってないか?(事例サンプル付)」と関連しています。
こちらもぜひ読んでみてくださいね。