From:橋本公平 (大阪の自宅より)
こんにちは橋本です。
どんな業界にも多い少ないの程度差はあれ、競合は必ずいます。競争のない業界なんて、まずないですね。検索結果に表示される他社やショップはすべてライバルだし、楽天なんか前後左右がすべて敵。ほとんどが激しい競争にさらされて、なにかしら対策を講じていると思います。
ネットショップだと値下げでしょうか、広告でしょうか、送料無料キャンペーン?
値下げは一時的に売上げにつながるけど、粗利が低くなるし、それを見た競合が値下げしたらこっちはさらに対抗しなくちゃいけない。するともっと利益が圧迫される。楽天に出店しているネットショップのうち、80%以上の店舗が「赤字」だと言われているのは、社場代だけでなく値下げ競争やたくさんの広告費が影響しているのは明らかです。
こういった不毛にちかい体力勝負の戦いを強いられるのは、やはり競合の存在です。そんな競合を意図的に減らすことができれば、ラクになると思いませんか?
意図的に競合を減らす方法
では、競合をこちらの思い通りに減らすは、どうしたらいいでしょう。
答えを先に言ってしまいます。
ターゲットを絞る
です。「なんだ、そんな当たり前なこと知ってるよ」と思いましたか?マーケティングをしてる人は、腐るほど見聞きするフレーズです。でも、知っているだけでできてない会社ってけっこう多いです。
ターゲットを絞ると、その対象となるお客さんが反応しやすくなるというのは良く聞きます。お客さんを広く取りすぎている会社が、ターゲットを絞ってうまく集客や経営に生かしていくと、お客さんが今までと比べて見違えるほど反応してくれます。
つまり、
- みんなに売ろうとする→誰にも売れなくなる
- 特定の人に売ろうとする→売れる
みんなに売ろうとするのは、一見間口が広くてたくさん獲得できそうなイメージですが、実は特定の人に売ったほうが、売上げは上がります。なんだか不思議ですよね。
では、なぜみんなに売ろうとして「何でもできますよ」と言うと、誰にも売れないのでしょうか。
絞らないと売れない理由
絞らないと「なんでも」の競合を増やしてしまうから
ぼくのよく知る設計を例をとると、
設計事務所は基本的にはほとんどの建築物を対象にできます。戸建て住宅やマンションはもちろん、リノベーション、店舗、オフィスまでも守備範囲です。なんでもできてしまうので、間口がたくさんあってお得感がありますが、他の設計事務所も同じようになんでもできるので、思いっきり対峙することになります。
5社がすべて「なんでも」分野で競争すれば、全社がライバルの状態です。
ここでリノベーションだけに絞った会社が出てくると、状況が変わります。リノベーションを考えるお客さんは、店舗や戸建て、オフィスなど興味がないので、リノベーションに絞った会社に流れやすくなります。そうすると、なんでもの会社はリノベーションのお客さんを奪われることになりますね。同じように、店舗だけを対象にする設計事務所が出てくれば、そのお客さんも奪われます。
つまり、なんでも会社は絞った会社にお客を奪われることになります。絞らなければ絞ってきた競合に勝てなくなるわけです。
絞った会社が多くなると、「なんでもできる」は意味をなさなくなり、次第に「なんにもできない」に変わっていきます。「なんでもできる」と競合を増やすより、自分の強みが活きる分野に絞って、勝てるフィールドで勝てる競合にきちんと勝ったほうが、売れるわけです。
上の例では簡単に説明していますが、設計業界ではまだ絞り方が甘いです。店舗設計の分野でもライバルが多いので、もっと絞り込むことになります。アパレル・物販専門、飲食店専門、整骨院専門まで絞り込む会社もちらほらいます。
戸建て住宅なら、狭小住宅、木造住宅、古民家風、ロッジ風、趣味を楽しむ家など、自分の得意とするポジションをつくって、競合を減らしているところもあります。
まとめポイントは、
絞らないと、絞ったところに負けてしまう
絞らないと、ターゲット像があいまいになるから
戸建て住宅、マンション、リノベーション、店舗、オフィスと、なんでもできる会社がターゲットにするお客さんはどんな人でしょうか?
単純に考えると、戸建て、マンション、リノベーション、店舗、オフィスを求めている人になります。でも、なんでもを求める人なんていませんよね。
「なんでもできる」に出てくる問題は、ターゲット像を描けないことです。ターゲットが分からなければ、どんなものを求めているのか分からないので、どんな情報を提供すればいいのかも分からない。
アパレル店舗と整骨院は、求められることが違います。それをひとつのターゲットにするには無理な話です。
一方、アパレル店舗に絞った会社は、アパレルに必要な要素、特有の課題などを把握できるので、その解決もスムーズに行えます。逆に言うと、ターゲットを絞るとそのターゲットだけのニーズや不安、リスクを知ることに集中できるわけです。恋愛に例えると、一人の女性だけにアプローチするイメージですね。
まとめポイントは、
絞らないと、ターゲットの気持ちを把握できない
絞らないと、メッセージが刺さらなくなるから
ターゲット像が曖昧だと、もちろんメッセージも曖昧になります。メッセージは具体的であればあるほど、みんなではなく狙ったターゲットに刺さりやすくなります。
「店舗運営で悩んでいるオーナーさん!」より「店内の導線が悪くて悩んでいるアパレル店舗のオーナーさん!」と呼びかけたほうが、確実に振り向いてくれますよね。もちろん課題や問題を具体的に把握できるので、ピンポイントのアドバイスも提供できます。
この時代、情報が多すぎてどれが自分へ向けられたメッセージか、分からなくなっています。現在人が1日で受け取る情報は、江戸時代の人の1年分と言われてるほど、もうお腹いっぱいの状況です。もちろん集中力も散漫になります。
そんな状況で振り向いてもらうためには、「私のための情報」を発する必要があるわけです。
まとめポイントは、
絞らないメッセージは、振り向いてもくれない
絞らないと専門性が低くなり、信用されないから
「なんでもできる」会社は、なんでも知っているから「なんでもできる」と言っているわけですが、リノベーションに絞った会社は、「リノベーションのことなら任せてください」と言えるので、専門性が高くなります。もちろんノウハウもその分野に特化した蓄積ができます。
ジュースを想像してください。
「なんでもできる」会社は、リノベーションしたいお客さんにとっては果汁25%になります。一方、リノベーション専門の会社は、リノベーションしたいお客さんにとっては果汁100%です。
どちらのほうが信頼できそうですか?リノベーション専門のほうが、いろんな知識やノウハウを持ってそうですね。「なんでもできる」会社も実際には同じレベルかもしれませんが、お客さん目線だと違いは明らかです。
和食料理人より寿司職人のほうがうまそうに感じます。
ターゲットを絞ることで、専門家として信頼してもらえることができます。
まとめポイントは、
絞らないと、絞った人より信頼してもらない
まとめ
ちょっと長くなってしまったので、まとめます。
競合を意図的に減らすには(自分のポジションを確立するには)、ターゲットを絞ることが大切です。絞らないとどうなるのか?
- 絞らないと、絞ったところに負けてしまう
- 絞らないと、ターゲットの気持ちを把握できない
- 絞らないメッセージは、振り向いてもくれない
- 絞らないと、絞った人より信頼してもらない
です。
絞ることの重要性を理解いただいたと思います。